ebpmが自治体で活用されている事例は?具体的な効果や有効活用のポイントを解説!

ebpmが自治体で活用されている事例は?具体的な効果や有効活用のポイントを解説! 地域活性

地域が抱える様々な問題を解決していくためには、エビデンスに基づいた自治体政策が必要となります。

政策がしっかりとしていれば、問題解決だけでなく、地域活性化などの効果も期待できます。そんな自治体政策の重要性、得られる効果などを一緒に見ていきましょう。

EBPM(Evidence Based Policy Making)、直訳では「証拠に基づく政策立案」が多くの自治体で取り組まれるようになりました。それでは実際にどのように活用して、どういった効果を生み出しているのでしょうか?国内での事例を出して、具体的な効果やEBPMの有効活用のポイントを紹介していきます。

ebpmが自治体で活用されている事例は?具体的な効果や有効活用のポイントを解説!

自治体政策でエビデンスが求められる理由

地方分権により、行政サービスなどの方向性は、地域住民の意見を反映できる形となっています。地方には、そのための財源も与えられています。
ただ、権限と財源があるからと、何の根拠もない状態でサービス提供や改革を行うと大切な財源を失う原因となることもあるでしょう。そんな状況を避けるために、欠かせないのがエビデンスの存在です。

エビデンスとは?

エビデンスとは、日本語で証拠や根拠を表す単語です。
地方自治体を盛り上げるという漠然とした目標を掲げても、そこに具体的な内容も数値目標も設定されていないのであれば、いつまで経っても話が進まない可能性があります。

しかし、地域が衰退している原因や問題がどこにあるかを明らかにし、エビデンスがある解決法や目標を提案すれば、そこから一気に話が進むことになります。
そのため、会議や政策などではエビデンスが欠かせないものとなっています。

地方自治体で必要なエビデンスとは?

自治体政策を行う上で重要となるのは、地域に合わせた政策を行うことです。
過疎化という問題でも、人口が減っている原因は地域によって異なるものです。他の地域で有効だった政策を持ち込んだとしても、その地域に合わなければ効果が出ない可能性があります。

地域の問題を解決するためには、政策を開始した時にどれだけの効果を見込めるか具体的なエビデンスを提示しておくことが重要です。空想上の政策ではなく、しっかりとした根拠を元にした政策であれば、関わる人も全力で取り組みやすいというメリットも生まれます。そのため、自治体政策を行う際には、その地域の問題や環境・財源など色々なデータから、エビデンスの用意から始めると良いでしょう。

EBPMを推進している自治体での活用事例を紹介!

ここではEBPMを積極的に推進し、国(総務省)からも代表的な事例として紹介されている自治体を取り上げて解説していきます。

EBPMを推進する神奈川県横須賀市の事例

エビデンスに基づいた政策を行う自治体は増えていて、例えばここではEBPMを積極的に推進している神奈川県横須賀市を例にとって紹介していきましょう。横須賀市では例年「ウインドサーフィンW杯」が行われており、大きな賑わいを見せています。

そこでイベントがどのように横須賀市に良い効果を生んでいるのか?を考えることに。実際にEBPMを推進し、経済効果について分析をしたところ、日帰りではなく宿泊する観戦者が増えることで経済効果が大きくなる因果関係が見つかりました。そこで2019年の大会では宿泊施設のPRを神奈川県外でも積極的に行うことに。すると宿泊者数の割合は全体の1.8%上昇し、自治体への経済効果が生まれました。

EBPMによって因果関係が見つかったわけですが、この際に活用したのは神奈川県全体の統計データです。確かに横須賀市は神奈川県にある市の1つではありますが、市町村ごとに観光都市として、または商業都市としてのレベルが大きく異なります。そのままのデータでは現実的なエビデンスとして活用しにくいですが、横須賀市は分析するツールを独自に開発してこれを可能にしたのです。

EBPMを推進する滋賀県大津市の事例

大津市は滋賀県の県庁所在地ということもあって、県内では人口増加傾向にある市の1つでした。しかし増加が次第に緩やかになっていき、対策の必要が出てきたのです。日本全体としては人口は減っているので、このように少しずつ人口増加が緩やかになるのは自然なことですが、移住先として魅力的な町づくりを考えるきっかけとなりました。

そこで積極的にEBPMを推進し始めるのですが、ここでエビデンスのメインとなったのは国勢調査などのデータです。そこに加えて市民アンケートを実施した結果、鉄道など交通の利便性と住みやすさの関係性が見えてきたのです。大津市はこのエビデンスに基づいて、駅を中心にした住みやすい町づくりを進めていく方針を固めました。長期的な施策になるため、結果は将来的に分かっていくことではありますが、友好的なデータを今後も定期的に集め、活用していく姿勢を見せています。

自治体に役立つエビデンスを見つけ出すには?

EBPMにために必要なエビデンスを見つけ出すには、エビデンスの適切な「集め方と選び方」に気を払う必要があります。どちらのステップもないがしろにしてしまうと、目に見えた効果も出ず、労力も無駄になってしまう恐れも。そこで各ステップを丁寧に紹介していきます。

エビデンスの適切な集め方

エビデンスの適切な集め方は以下の通りです。

  • その道の専門家との連携
  • 政府の文書、学術論文を参考にする
  • 独自にデータの収集、分析をする

エビデンスを集める際に、新しく「データの収集、分析」を実施しようと考えるのは自然な流れだと言えます。しかし実際には、学術論文などからエビデンスを集める方が効率的で早いです。なぜなら過去これまで国や自治体では、実施政策において少なからずエビデンスが集められ、またその結果は多くの公的文書に記録されてきたのです。このデータを活用できる範囲で自らの自治体に役立たせ、政策を進めていく方が迅速です。

エビデンスの適切な選び方

エビデンスは公的なデータ、民間のデータを含めてたくさんある上、インターネットで広く集めることができるようになりました。あまり多すぎると今度はエビデンスを選ぶ際に迷ってしまいがちです。そこでまずは「選び方」をしっかりと把握しておくことが大切になります。エビデンスの適切な選び方は以下の通りです。

  • エビデンスの強さを確認する
  • 因果関係があるかを考える

エビデンスには強さ、弱さがあるため、エビデンスによっては自治体への有効度が大きく変動していきます。もちろんより強いエビデンスを選ぶことが重要で、政策の根幹となる部分なので特に注意しておきたい部分です。なお非常に論理的でエビデンスが強いデータでも、実際に自らの自治体に当てはめると「現実的ではない、正しいけど役立ちそうにない」といった場合もあります。

現実の状況をよく見て、照らし合わせる視野の広さも必要です。例えばあるデータと「相関関係」が一見ありそうに見えても、「因果関係」はどう見ても無い、という場合は要注意です。こういった状況を回避してEBPMを推進していくには、人間的な視点とのバランスを取ることが大切だとも言えます。

地方自治体の問題解決のためのエビデンス

地方自治体が抱える問題を解決するためには、その地域に合わせた仕組みを作っていくことが大切です。具体的にどんな方法を取れば良いか、エビデンスをどんなふうに活かせば良いかを簡単に見ていきましょう。

人口問題とエビデンス

地方で問題となっているのが、過疎化などの人口問題です。
人口減少などの問題を解決するためには、その地域の問題を知ることが大切です。人を呼び寄せても、働く場所がなければ人は定着しません。そのため、地方創生には移住と仕事をセットに考えることが有効とされています。そんな地方創生の取り組みの一つが、地域おこし協力隊です。移住を推進するプロジェクトですが、定住して貰えるか、地方創生に繋がるかは募集をする地域や、派遣されてくる人次第です。

募集をすれば、一時的に人口が増え、地域が活性化することもあるでしょう。ただ、その先の定住や地方創生に繋がらなければ、企画倒れに終わってしまいます。実際に地域おこし協力隊を募集し、多くの人が集まったのに定住する人が少なく、協力隊の任期が終わると元の寂しい状態に戻ったという自治体も珍しくありません。さらに、プロジェクトが上手く進行しなければ、途中で予算不足になり自治体側から隊員に対し、活動終了をお願いしなければいけない状態となることもあります。

本気で人口問題を解決したいのであれば、見切り発車をするのではなくエビデンスを用意した上で、具体策を検討していくことが大切です。具体的な数値が出れば、目標達成のために必要な改善点なども見えてくることになるでしょう。

保育所問題とエビデンス

地域で増えてきている問題の一つが、保育所不足です。保育所不足は、人口が多い都心部などで起きやすい問題です。
自治体政策でも、この問題の解決を求められることが多くなっています。ただ、保育所不足というのは、ただ保育所を増やせば良いという訳ではありません。どれだけ保育所が増えても、働く保育士がいなければ問題は解決しません。こうした問題の解決を目指す際にも、役立つものがエビデンスです。保育士の数や離職率、潜在保育士の数などのデータがあれば、そこから具体的な解決策が生まれる可能性があります。

さらに、目に見えて分かる数値データがあれば、将来的にどの程度保育所を増やせるか、待機児童を減らせるかなどの目標も立てやすくなるでしょう。エビデンスに基づいたデータがあれば、住民に対する説明を求められた際にも、説得力のある状態で話をすることができます。言葉に対して説得力があれば、住民からの理解も得やすくなるでしょう。

自治体政策を円滑に行いたい、そんな時は漠然とした理想論を語るのではなく、.しっかりとした根拠に基づいたエビデンスの活用を考えておくことが有効です。エビデンスがしっかりとしていれば、人口問題や保育所問題など、地域の問題解決がより現実的なものとなっていくでしょう。

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