若者移住が地方再生のカギ
若者移住促進が進んでいる
若者が集まる場所といえば都市周辺、人が多くにぎわう街です。人が多く集まる場所は魅力も多く、其れゆえに多くの雇用が生まれます。やりたい仕事があるという若者はそうした雇用の多さに惹かれて都心に引っ越す人も多いものです。ですが都会で暮らすには生活費も多くかかり、住む家にかかる家賃だけで生活が苦しくなる若者も少なくありません。
地方であれば同じ生活費で豊かに暮らせることも多いので、そうした無駄を実感し、いったん都会に引っ越したもののまた地方に戻ろうとする若者も少なくないものです。そしてこうした地方で暮らそうとする若者を呼び込むことは、地方にとってもメリットが多いので、若者の移住促進は今多くの地域で行われています。
若者の移住促進で得られるもの
若者の移住促進は、ただ単にその地域の人口を増やしたいという目的だけではなく、伝統の維持、使われていないものを再利用する、徴収できる税金を増やすという意味でもメリットがあるものです。事例としては、いま日本中で問題になっている中古住宅の活用があります。
田舎では昔ながらの日本家屋が多いものですが、一人暮らしの高齢者が住んでいたり、後継ぎがいないことで誰も住んでいないままの家が放置されているようなことも問題になっています。誰も相続しないままでは固定資産税などの税金の徴収もできないですし、また手入れがされないまま放置される家は放火や不法投棄の問題も出てきます。ですからこうした空き家を利用して若者移住を促進するということがあります。空き家なので家賃が格安、もしくは移住を条件に無料で貸出するような試みを行っている地域もあります。
子育て世代であれば大きな昔ながらの家に住めるのはうれしいものですし、若い夫婦で小さな子供のいる家族であれば、田舎でのびのびとした子育てをしたいとも願うものなので、そうした人にはお得です。田舎での移住を好む人は空き屋のメンテナンスも自分好みで楽しめるものなので、メリットも多く感じられるでしょう。
また、子供の人数に応じて補助金を多く出す地域もあり、子育てに手厚いサポートをすることで若者の移住促進を成功させている事例もあります。若者はこれからの地域を支えていく世代ですから、若者の多く住んでもらえばそれだけ市や町の財政も安定します。徴収できる税金が少なく成れば財政破綻してしまう市町村もあるので、若者の移住は市町村が生き残るのに大事なことでもあるのです。
若者に安定した仕事を提供することも大事
特産品・伝統品の後継者に
いくら若者に移住を促しても、その地で安定した仕事を見つけることができなければ、移住をあきらめてしまうこともあるでしょう。移住に興味を持っても、実際行動に移せるかどうかは好奇心の多い若者であっても、仕事があるかないかで大きく左右されるものです。ネットが普及した今、都会でなくても出来る仕事はたくさんありますが、住んでいる土地で安定した仕事が見つかるかどうかは多くの人にとって重要です。ですから移住先の地域でどのような雇用があるかの紹介も必要になってきます。
ですから、若者の移住促進をする上でその地域の特産品や伝統工芸の仕事を紹介するということもあります。地方の特産品や伝統工芸品を扱う仕事は後継者がいないことで悩んでいることも多いですが、それはどのような仕事か知らない若者が多いからということも原因にあります。実際にやってみると興味を持つ若者というのも多いものですから、どういった仕事なのか知ってもらう機会も与えなければなりません。わからないから若者が職として選ばないということもあるので、移住者に紹介して後継者になってもらうという事例もあります。
特産品や伝統工芸にかかわる仕事は修業が大事で、職人気質の先輩とはうまくやっていけないのではないかという不安を持つ人もいますが、イメージ的にはそうであっても、昔のやり方とはずいぶん違ってきていることも多いので、若者を呼び込んでやってもらうと、意外と長くできる仕事として定着することもあります。
農業と同じで、今は優れた機械があるので、田舎だということで、人の手で何もかもやらなければならないということもないからです。ネットや最新機器の力を借りて楽しくできる仕事は、伝統工芸品を扱う仕事にも当てはまるので、こうした魅力を伝えていくと良いでしょう。若者移住促進は、移住の魅力をいかにうまく伝えていくかということも大事です。
知ってもらうきっかけを作る
そう言った意味でも、若者移住促進が成功するかしないかは、宣伝やマーケティング能力が必要ともいえます。また、住んでからはメリットばかりではなく田舎ならではのデメリットもあるので、そうしたデメリットも前もって伝えておくことが必要です。想像と違った、ということで移住を失敗だと考える若者もいるので、ある程度どういったデメリットがあるかも伝えておくことが必要です。